2003年沖縄・先島諸島クルージング
海音号便乗航海記
Part2 最西端をめざして
糸満で丸四日つぶれてしまったが、船が無事だったのは何より喜ぶ
べきことである。
台風6号は、石垣から宮古島を巻き込んで、沖縄の西の海を九州へ
と足早に去り、その後を太平洋高気圧が張り出して、南西諸島方面は
梅雨明けとなった。


      6月17日             6月19日            6月20日   
台風対策は新規に200mのロープを買い、対岸からもやいを取って
計6本のロープをとり、万全とはいえないまでも、できるだけの対策
を施した。
糸満港は西に開いているが、防波堤とリーフがうねりを受け止めて
くれるので、中までうねりが入り込むことはないようである。
県警や水産高校の船があるから、安全なんだろう。
漁船は奥の方に、縦着けでぎっしりと詰まっている。
プレジャーボートも、同じように横着けから縦にもやいなおしていた。
周りに高い山がないので、風はさえぎられることなく吹き抜けるから、
波よりも風に対する準備が必要かもしれない。
2m近い干満の差があって、岸壁の上り下りに苦労させられた。

 
地名で言うと糸満市西崎地区だが、糸満の中心からは大分離れている
けれど、コンビニもスーパーも風呂も徒歩20分圏内にあるから、場所
的にはさほど不便を感じない。
トイレは近くの公園にあって、徒歩5分、これは許容範囲よりやや
外れるかも知れない
風呂は思いがけない近くにあって、何もタクシー使って那覇まで行く
ことはなかった。
西崎運動公園の近くにスポーツロッジ糸満と言う公共施設があり、コイン
ランドリーもあるので、大変助かりました。
歩いていけそうだったので、道を尋ねながら行ったら、沖縄のシーサー
見たいなおじさんが、ニコニコ笑って「この先を左に曲がれ」と言うの
であるが、彼の手の示す方向は右なのである。続けて「大きな道に出た
ら右に行けばすぐだ。」と、今度は左。
左に行って右ですね、と念を押すと、やはり「そうだ、左行って右。」
彼の指はどう見ても「右から左」なんだよなぁ・・・
道は確かに「左に行って右」だったんだけど。
ともあれ、これからがこのクルージングの目的。
先を急ぐことにしよう。

6月20日 晴 時々 曇り
まさに台風一過、真っ青な空が広がっている。
台風用に購入した長〜いロープを片付け、燃料を補給してうねりの
残る海を久米島に向かう。
出港11時、ルカン礁を左に見て慶良間群島の前島と渡嘉敷島の間
にさしかかると、島の間を吹きぬける風が相当強い。
 
南風だから横に受ける形なので、速度は維持できる。
12時には渡嘉敷港を過ぎて、大きく久米島へと針路を変える。
久米島は東に5マイルほど張り出したリーフがあり、その先端には
高い灯台がある。
リーフの中はエメラルドグリーンの海、沖縄言葉の「美ら海」が
広がって、白いサンゴ砂が紺碧の海との境を作っている。
そう、この海が見たかった。
 
「ヒビキ」と並走しながら、南の海を久米島・真泊へと向かう。
入港14時45分。
真泊は小さな港で、ダイビングを業とする船が多い。
漁協で水を分けてくれるように頼みに行ったら、人相の悪そうな、と
言ったら失礼だが、やはりシーサーのようなオジサンが、破顔一笑、
いくらでも積んできな!と、わざわざ長いホースを持ってきて、
トイレの窓から給水してくれた。

      
           給水中                     久米島イースホテルの風呂とレストラン
「ヒビキ」組は、オーナーと合流するということで、ホテル泊まり。
我々も便乗して、無理矢理頼んで風呂に入れてもらい、北村さんと
ホテル内のプールの見えるレストランで夕食。
もうすっかり、南のリゾート気分であります。
 
 
航程 50マイル 3時間
6月21日 快晴
ホントに暑い!と言える日がきました。
沖縄から先島に渡るためには、どうしてもこの140マイルの外洋を走り
切らなければならない。
ここでエンジンが壊れたりした日には、もうどうにもならない。
半ば神頼みのように、5時40分久米島を出港。
昨日の道を確かめるように、東からリーフを回って西へとコースを変
えれば、あとはひたすら走るだけ。
 
群青の海に、一本の白い航跡を引いて走ること8時間、ようやく宮古島
手前のフデ岩を確認。
池間島とその北に広がる八重干瀬の間を、慎重に航路標識を追いながら
大きく回りこんで、宮古島平良入港14時40分。
最大の関門を無事に過ぎたわけである。
平良港は左が漁港、右が商港と住み分けが出来ていて、漁港の方にヨット
のマストが見える。
入ってみれば、漁協の脇にヨットだまりがあって、10隻ほどのヨットや
パワーボートが浮いている。
とりあえず漁協の補給施設で燃料補給して、係留もOKを貰った。
ここから町まではかなりある。
北村さんとぶらぶらと歩き始めるが、暑さに耐え切れなくなってタクシー
で町まで運んでもらう。
12階建ての豪華なホテルがある。
サウナがあるが、5時からの営業といわれて、まだ1時間も待たなければ
ならない。
脇にあったプールサイドのシャワーを借りて、今日の汗を流したが、その
ホテルの目の前に立派な岸壁があり、しかも空きがある。
北村さんは「ここがいいじゃないか。」
また漁港に取って返して、宮古島平良港商港側へ船をシフトする。
岸壁には、ダイビングボートが取りに来るのか、ボンベが並べてあるが、
一番奥のダイビング船の兄ちゃんに「どこかあいてるかい?」と聞いたら
ここが空いてるよ、と、隣の岸壁を示して、さかんに「いい船だなぁ。」
とつぶやく。
乗ってみるかい?と水を向けたら、大喜びで乗ってきて、フライブリッジ
やらキャビンやらを見てった。
ついでだから彼に、この近くに食堂はないかと聞いたら車で送ってくれた
けれど、まさに大衆食堂。
まさか、除いて帰ることも出来ず、野菜炒めとビールを頼んで、早々に
ホテルの和食レストランに脱出する。
「ホテル アートエメラルド宮古島」の「だいふく苑」で二度目の夕食。
ウエイトレスのおねえちゃんたちは、ちゃんと着物を着ていたけれど、
宮古島で和服というのも、なんだかねぇ・・・
 
ともあれ、久しぶりの日本酒を頂いて、今日の航海の満足感も手伝って、
いい気分で船に帰りました。

航程 145マイル 8時間 

            

6月22日 快晴
今日も晴れて南の風が強いが、このあたりの海の様子もわかってきたし、
あとは与那国まで島伝いに行けばいいのだから、今までとは全く安心感
が違うのであります。
とはいえ、また帰りには同じ航路を走らなければならないのだが、それは
今は忘れて、一生懸命西へと向かって走るだけである。
平良出港7時、伊良部島から西に針路をとって、多良間の横が8時半。
 

 

気持ちよく走って、石垣島の南を過ぎ波照間まであっという間の航海。
気になるのはやはり左エンジンだけれど、水温だけでなくてギアオイル
温度アラームが鳴るようになってきた。
回転を下げれば止まるのだが、原因がさっぱりわからず、嫌な感じ。
波照間は有人島としては日本の最南端にあたる。

波照間南端・高那崎
最南端の北緯24度02分を確認して、波照間港に向かう。
入港12時40分。
炎熱下の港には、人影はほとんどない。
奥の船だまりに人のいる船を見つけ、どこに止めたらいいですか?と
尋ねたが、あっち行け!と言わんばかりの態度。
いい島かと思ったが、やはりダイバー相手の観光しかない島である。
フェリーターミナルの脇に止めて、島内を一回り。
大きな墓だけが目立つ。
明るい南の太陽と比べて、あまりにも対照的な淋しい島であった。
我々のような、自分の船で来て金を落とさない人間には、排他的な
人の表情だけが印象に残った。
お金を落としたくても、大した店があるわけではないし。
シャワーもないから、港の前のトイレの水道で水浴び。
でも、悲しいくらい空も海もきれいでした。
波照間画像集
航程 106マイル 6時間
 
6月23日 快晴
午後から風が吹き上がってくる毎日が続くので、今日もあまり距離はないが
早立ちにする。
もっとものんびりしていても何かできる島じゃないし。
出港7時、うねりはあるが穏やかな海だったが、案の定、中御神島を越えて
与那国が見える頃から、南南西の風が12mくらいに上がってきた。


 
島の陰に入れば、波もなくて走りやすいのだが、与那国西端のその名の通り
西崎に寄ると相当な吹きようで、ここも東経122度55分を確認し、岬の
際の久部良に入港。
航路幅は100mくらい。折りよくフェリーが出てきた。
右の浅瀬に気をつけながら、漁協の前の岸壁に横付け。入港10時10分。
後ろからの風が強く、なかなか上がるタイミングがつかめない。
フェリーも出て行って、今日は岸壁は空いているからと、漁協の人が言う。
ここはカジキの宝庫、年間1000本はあがるとか。
沖縄あたりから、ボートがBig Game狙いでよく来るらしい。
ただクルージングに来たって言うと、不思議そうな顔をする。
スタンドからタンクローリーを呼んでもらい、給油と給水。
ここの水は美味しいらしい。
なんといっても泡盛「どなん」の産地だからねぇ・・・
カレーを温めて簡単な昼食を済ませ、北村さんと最西端観光。
最西端画像集
郵便局と大前商店という雑貨食料品店があるだけ。
それでも人はいる。
オーナーに「カボですか?」と聞く人がいた。
横浜から来て、やはり50フィートのボートを持っているんだそうな。
奥さんと二人で二泊三日の与那国観光。
やはり風呂もなく、海水浴と船のシャワーで一応さっぱりする。
夕食は大前商店で買った豆腐に納豆。
なんとも質素なことであります。
食後、夕日を見に行く。
与那国馬を海に乗り入れている人がいる。
最西端の夕陽。
航程 56マイル 4時間
 
Part3へ続く