2005年函館クルージング 往路航海記
4月22日 諸磯 晴
予定通り西の風が吹いている。
このところ、寒気の流入で雷が発生していたが、それもほぼ終わり安定
した気圧配置になってきた。
夜10時には椎野君、太田君、それに急遽乗ることになった砂岡君が
揃って、出発前の小宴。
月も満月、海も穏やか、明日の旅路は楽しいものになろう。
就寝11時。
4月23日 快晴 諸磯−勝浦 W2→SE1
4時半起床、5時5分出港、朝日に向かって、コースを取る。
うねりが残ってはいるが、帆走にはちょうどいい西からの4mの風。
8時、洲崎に近づく。思ったより速いスピードであるが、残念ながら
風が落ち、エンジンをかけて野島崎を目指す。
漁船が多数、布良鼻の根に群がっている。
9時35分、野島崎灯台を過ぎ、のんびりと房総半島を北にたどる。
風がなく、うねりだけが船を大きく揺さぶる。
13時、鴨川通過。イルカの群れが船を囲んで飛び回っている。
15時、予定通り勝浦入港、カツオ漁船がたくさん入港していて、
しかも以前留めていた防波堤に大きな餌のいわしの生簀ができて、
スペースがほとんどない。
生簀と千葉県の漁業調査船の間に、3隻分ほどの空きがあり、和歌山
の小型カツオ船に並べて留める。
しばらくして、那珂湊からの44フィートシングルハンド艇入港。
我々は、風呂と夕食のため町に出る。
7年ぶりの勝浦、風呂屋は国道近くにある。
夕食は、早速カツオの刺身で、とりあえず初日の無事を祝って乾杯。
画像はこちら (太田君のページ)

航程 51マイル 10時間
4月24日 快晴 NE4−5
北東の風に、夜中から数回起こされる。
かなり吹いているようだ。
5時起床、沖の風の具合は港内ではわからない。
気象情報では勝浦は北東の風7m、微妙な強さ。
7時、ともかく出てみようと出港、セールは1Pリーフ。
作業中にいきなりワイルド・ジャイブをやってしまう。
メインが少し出ていて、あぶなく太田君を船外に弾き飛ばすところだった。
灯台の下を過ぎたら、いきなり外洋の波と風。
今日の航程を考えたら、やめたほうが正解と判断、勝浦にU−ターン。
ここで無理することはない、先は逃げる港もない九十九里浜である。
8時、港に戻ればもうすっかりクルージング気分となり、朝市を覗けば
立派なカツオが700円!
早速一本買って、ついでにめざしを買い、一夜干しのイカを買って船に
戻れば、もう宴会モードとなる。
ご飯を炊いて、カツオ丼やカツオ茶漬け。
昼寝して、椎野君、砂岡君はJRで帰宅。
残った太田君と風呂に行き、就寝9時。
航程 51マイル 10時間

港内を右往左往するカツオ船
4月25日 曇り のち 雨 SE3→NW2→E4
風はすっかり落ち、パンとコーヒーで軽い朝食。4時出港。
南東の風にエンジン併用で5,5ノット、連れ潮で快調に走る。
8時、白子の沖、風は北西に変わり、帆走に入るがすぐに落ちる。
昼飯はカップ麺だったが、ポットの湯が冷めていて失敗。
ま、こういうこともあります。
この具合なら、苦もなく銚子に行けると思いきや、海はちゃんと楽しみを
用意していた。
12時、名洗に近づき、もうすぐ犬吠を越えられるところで、東の風が
雨を交えて急に強まり、名洗の灯台を過ぎるころは視界500mの大雨。
12時30分、犬吠埼灯台通過、雨も風も落ち、銚子に入るころには
「何だった?」と思うような、静かな海になっていた。
銚子は狭い水路をたどって、一番奥のヨットだまりまで入る。
ごみも多く、水も汚く、お世辞にもいい場所とは言えないが、駅に近い
のが救いである。
太田君と風呂に行き、焼肉屋を探して小一時間。
結局見つからず、食堂で焼肉定食。
太田君は、JRで帰宅。
航程 52,6マイル 9時間30分

4月26日 曇り のち 大雨 E2→NW6
雨の音で目がさめる。
濡れるのが嫌なばかりに、雨のやむのを待って8時半舫を解く。
この1時間が後になってひどい目に遭う元なのだが、神ならぬ身の知る
由もない。
漁船と併走して、銚子港外へ出る。
風はほとんどなく、エンジンで大洗を目指す。
午後二時、平均6ノットで大洗まで6マイル、快調に走っていると思いきや、
急にエンジンから異音が出て、青い煙を吐きはじめた。
一気筒、点火していないようで、ノズルが詰まっているのかもしれない。
数回、起動しているうちに元に戻ったが、今日の天気予報は午後から雷雨。
前線が通過するまでに、なんとか逃げ込みたいと思っていたのに、不安の
種が一つ増えてしまった。
沖には、霧の塊が見え始め、ほどなく視界500mになり、レーダー反射板
を引っ張り出す。
実に7年ぶりの登場。
14時40分、やはり前線につかまってしまい、大洗の防波堤の2マイル南
で、北の突風に土砂降りの大雨に雷鳴まで轟くありさま。
日立のT氏に係留場所を依頼してあったが、あまりの風雨にたまらずマリーナ
に入ろうと思ったが、T氏の電話で「場所は心配ないので入港するように」。
フェリーの陰でセールダウン、内港の突堤で手を振ってくれるT氏を確認。
遊漁船に横付けさせて貰う頃には、風雨も収まっていた。
いつもの通り、最悪のときに入港してしまった・・・
T氏の案内で、温泉へ行き、冷えた体を温める。
船にはT氏と大洗マリーナの重鎮 S氏が見えられ、もろもろの話に気がつい
たら8時。
町の居酒屋で夕食をご馳走になり、10時就寝。
やはりどうせ濡れるなら、覚悟して早立ち、いい教訓になった。
航程 38.1マイル 8時間

4月27日 晴 NW1→S3
今日は函館組の到着日である。
乗せる段取りというのは、なかなか面倒なもので、経路に駅と港の距離が問題
になる。
新幹線の通っているところならさほど難しくないのだが、北海道から常磐北部
というのは、仙台以南の列車が少ないので、結構難しい。
銚子は論外、大洗も水戸の乗り換えがあるし、小名浜ではあまりに駅から遠い、
ということで、T氏にお願いして日立港でのピックアップを決めた。
7時出港、穏やかな風に、昨日の濡れたものを干しながら、ゆるゆると帆走、
機帆走を楽しみながら、10時日立久慈漁港に入港。
小さい漁港なので、ほとんど空きがなく、入ってきた漁船に横付けさせて貰う。
午後、T氏が来てご自宅で休息、その後日立本社を見学させていただく。
風呂に入り、氷の手配をお願いして、熊谷、布村両氏を大甕駅で迎え、駅前で
夕食を兼ねた小宴。
Tさん、お世話になりました。
航程 16.1マイル 4時間
4月28日 快晴 S2
3人となって、賑やかな朝である。
日立久慈出港5時、気象予報は低気圧の接近で風警報が出たと伝える。
予定は久ノ浜あたりまで、と思ったが、今日のところは小名浜あたりまでに
しておこうと、一応平潟を目的地とする。
せっかく近くまで着たのだからと、小名浜の敬愛する松井さんに電話すると、
それならサンマリーナにおいで、と、強制入港の指示。
入港11時、ゲストバースに着けたら、目の前に散り始めたサクラがあるでは
ないか・・・
早速、酒とテーブルを持ち、ブルーシートを敷いて花見の宴となりました。
午後、松井さんがおいでになり、翌日久ノ浜までクルージングするから、一緒
に行こうというお誘い。
もちろん喜んでお受けする。
横浜から来る我妻、太田両氏のピックアップにも、いい場所である。
それにしても、このマリーナは僻地にあり、周りにはコンビニはおろか、店
一軒ないのである。
この航海初めて、夕食を作る。
スパゲティ・ミートソースにクラムチャウダー。
食後水を入れるために、別のバースに移動しようとエンジンをかけたら、
ファンベルトが切れた。
いいタイミングで切れたものである。
すぐに新品に交換し、当分心配なし。
航程 28.8マイル 6時間

4月29日 晴 S2
午後から吹きそう、という予想で、距離は短いが昼には久ノ浜に着いておき
たいから、と、6時半サンマリーナ出港。
朝食を省略したので、小名浜港に寄って市場の近くの食堂でご飯を食べようと、
魚市場の脇の岸壁に着ける。
市場の食堂は開いていず、近くの魚屋隣接の食堂で、ネギトロ丼とビール。
ま、今日は昨日の夕食分も含めるから、いいでしょう。
満腹して、8時半岸壁を離れる。
塩屋の沖にあったはずの定置網が見つからず、適当なところで北に進路をとる。
風は真追っ手で、ジブとメインの観音開きで3ノット半。
10時半、風が東にふれて快適な帆走になる。
12時20分、久ノ浜入港。
午後、予想通り風が南西に変わり、強くなってきて、松風はどうしたのかと
思っていたら、突然岸壁にワゴン車が止まって、松風一家が降りてきた。
出港しようとしたら、舵が効かなくなったとか。
簡単に直るようなトラブルでもなく、わざわざ陸路久ノ浜までおいで下さって
ありがとうございました。
松風のクルーの方の実家が、少し離れた温泉旅館だそうで、そこで旧交を暖める
大宴会を計画してくださった。
我妻、太田両君を久ノ浜駅で迎え、そのまま温泉での宴会に突入。
すでに列車内で出来上がった我妻氏は、乾杯後間もなく爆睡。太田氏はやたら
うるさく、松風一家には、すっかり失礼してしまいました。
山海の珍味を十分に楽しみ、お握りまでいただいて、港でお別れ。
松井さん、すっかりお世話になってしまいました。
港は帰った漁船で一杯の状態、組合で聞いたら今の場所には、ちょうど帰ってきた
漁船が着くから、移動したほうがいい、と言われた。
急いで漁協の対岸の動かない漁船に横付け。
ご迷惑をかけずに済みました。
人も増えて、5人が床まで使って寝ることになりましたよ。
航程 18.5マイル 3時間30分

4月30日 快晴 E2
朝はお握り。
出港6時、さすがに5人だと賑やかである。
ここから相馬までは、原発銀座と言われるほどで、火力も入れると4基の発電所が
並んでいる。
広野、大熊、浪江、原町と煙突を数えながら機帆走すれば、二時過ぎには相馬の
手前、鵜の尾崎に着いてしまった。
14時30分相馬入港、いつもの最奥の作業船に横付けさせてもらう。
連休なので、事務所に断りに行っても、誰もいない。
栄荘という新しい日帰り温泉ができたそうで、全員でぶらぶらと歩く。
温泉は800円、屋上の露天は我々の独占で、松川浦を眺めながらのんびりと
汗を流し、夕食は港近くのスーパーの対面の食堂で。
焼肉とカツライスは、少々食べ過ぎである。
航程 46マイル 8時間

5月1日 快晴 NW1→S4
毎日、いい天気が続いている。
5時15分、相馬出港。
長い防波堤を抜けると、久しぶりの陸の見えない海になる。
好漁場なので、多数の漁船が操業していて、底引き船が行っては帰り、行っては
帰りを繰り返している。
8時、正面に金華山が見えた頃、一頭のあざらしが船の周囲を泳ぎまわり、
時には数度もジャンプしてサービスしてくれる。
さらには、クジラも悠々と泳いでいて、豊かな海を感じさせる。
鮎川を基地にしている、小型の捕鯨船も見かける。
11時、金華山がはっきり見えて、南東の順風に熊さんの要求でこの航海で
初めてミズン・セールもあげて、フルセールの帆走。
13時、金華山水道の架空線下を通過。
南の風の時は金華山を越えたら、風が吹くと読んでカップ麺の昼食のあと、セール・
ダウン。
二股島の水道を抜けて、大きく左にコースを取って女川湾に入る。
原発前に巡視船が止まっている。
このあたりから、南の風が10m近く吹きはじめ、強風の女川入港。
係留場所を求めて数回、港内を回るがなかなかいい場所がない。
結局、船尾アンカーで止めようとドタバタしていたら、観光パワーボートのマイクで
南側の岸壁に止めろ、と言ってくれた。
15時、無事横付け完了。
近くのガソリンスタンドで、燃料70リットル購入。
風呂はすぐ近くにあると言われ、早速5人連れ立って出かけるも、なんと休業。
もう一軒の風呂屋は廃業。
道路脇のタクシー会社で聞いたら、万石浦のホテルが入浴可、という。
仕方ない、タクシー二台連ねて風呂ツアー。
ここも相馬と同じような、万石浦の展望がすばらしい風呂である。
夕食はどこか居酒屋で、と、帰りのタクシーに案内させるが、連休中のこととて、
行く店行く店、すべて休み。
結局港の近くの和食堂の小上がりで、小宴。
船に帰ると、漁船が着岸していて20mほど移動されていた。
お邪魔さま、申し訳ありません。
夜半、前線通過。
航程 53.7マイル 10時間

5月2日 曇りのち晴 SW2 → NW4
明け方は小雨。我妻君はここで下船。
6時45分、舫を解き出港。
ここからは、いわゆるリアス式の入り組んだ海岸線で、逃げる港はたくさんあって
安心な反面、奥が深くて湾口から港まで20分から1時間近くかかるところがある。
その分の余裕を見て、移動距離は少なめに見積もり、今日は気仙沼までの予定。
曇ってはいるが、視界はそれほど悪くなく、雄勝、志津川と順調に機帆走で過ぎて、
昼には気仙沼の湾口にかかる。
風があがってきて、正面から吹き付けるので、真っ直ぐに入るより鮪立側から入った
方が楽なようである。
入り口の暗岩を大回りして、狭い水路に進む。
私の好きなところで、太田君に舵を任せ、のんびりと景色を楽しむことにした。
通過にはやはり1時間を要し、気仙沼の最奥、鹿折の岸壁には14時15分着。
以前来た時には結構空いていた岸壁には、大型マグロ漁船がぎっしり詰まっていて、
動かなそうな小さい漁船に横付け。
トイレもきれいになって、居心地のよい場所。
早速洗濯物を持って、コインランドリ−と風呂に出かける。
夕食は、私の一番気に入っている「福よし」。
ここで初めて、太田君は念願の「ホヤ」と対面。
さすがに気仙沼のホヤ、絶品でありました。
刺身はクジラが載っていて、一同大喜びで酒の量も進み、大いに盛り上る。
航程 37.2マイル 7時間30分
5月3日 快晴 SE1 → SE5
熊谷氏はここで下船、山田、太田、布村の3名となる。
出港5時45分、本港口は遠い。
外海に出るのに1時間もかかった。
穏やかな海を、唐桑半島、広田湾、碁石崎、綾里崎と過ぎ、印象的な死骨崎あたり
から風があがってきて、釜石湾口尾崎を過ぎる頃には8m/s
くらい吹いてきた。
太田君は風に帽子をさらわれ、なんとか拾おうと思って3度試したが、失敗。
秀麗な釜石大観音を間近に過ぎ、14時、観光船の岸壁に着岸。
このあたりは、何度も来ていて着岸場所に迷うことは全くないので、楽である。
町まで徒歩10分程度、橋上市場もなくなって、つまらなくなってしまった。
ダフネ回航のとき、ホヤを買ったっけ・・・あれ以来、三陸ホヤのファンになった
ような気がする。
風呂に行き、飲み屋を探して裏通りへ。
連休中のこととて、店の多くは扉を閉ざしているが、たまたま内輪の宴会をやって
いる店があって、「いいですか?」と若いおかみさんに尋ねたら、「どうぞ!」と
笑顔で答えてくれた。
宴席が盛り上がったのは、言うまでもない。
航程 43.3マイル 11時間

5月4日 快晴 SE2→SE6
観音様に見送られて、5時15分出港。
湾口を過ぎる頃は、凪だった海に南からのいい風が吹いてきたが、残念ながら真追手
で帆走が難しく、エンジンを軽く回して5ノット半。
9時、トドヶ埼を過ぎる頃は、風力5くらいになってメイン一枚で6ノットオーバー。
いい調子で帆走するが、波も大きく育ってこのまま田野畑まで行ったら知らない港に
追い風追い波で入ることになる。
それよりよく知っている宮古港の方がブランケットになるし、太田君が帰るにも交通
手段はいろいろあるから楽と判断、宮古に変更する。
10時半、閉伊崎通過。
フィッシャリーナができたと言うが、町には遠すぎるので漁港の方に決め、11時半に
岸壁に着岸。
「なあど」という、魚の直売とレストランの混合施設ができていて、さっそくビールと
昼飯。
連休のためか、かなりの混雑。
漁協の氷の販売機で300円で氷をアイスボックス二杯分買う。
太田君の切符手配に駅まで行くと、さすが連休、JRは満席。
夜行バスがあると言うので、窓口に行ったら「一枚だけあります」
伸ちゃん、運がよかったね。
ともあれ、夜9時までは時間がたっぷりある。
風呂に入り、居酒屋で別れの宴。
毎日飲んでばかりいるような気がする。
太田君が帰り、明日からは布村氏と二人旅。
航程 34.1マイル 6時間

5月5日 晴れ のち 曇り S2 → E2
5時10分、宮古出港。
北山崎の崖を見ながら、機帆走で北に向かう。
いくらか逆潮のようで、あまり船足が伸びない。
久慈の南から風が振れて、東風となりしばらく帆走。
久慈港は定置網に大きなブイができていて大回り、12時半、一番奥の漁船と作業船
の間に横付け。
連休なので、漁協はだれもいない。
近くの漁師さんに聞いたら、ああ、あそこは空いてる。
前にもここにとめた記憶があるから、多分大丈夫だと思った。
前後はちょっときついが、迷惑になる場所でもない。
布さんと歩いて山の上の久慈会館まで入浴に行き、そのまま町で夕食。
今日のホヤは殻付きである。
航程 38.8マイル 7時間30分

5月6日 晴れ NE4 → NE2
布さんは今日帰ることになっているので、とりあえず種市まで付き合って貰う。
久慈出港、5時。
この航海で初めてののぼり風、波は2mくらいでそう大きくはないが、走りにくい。
久慈湾北側の暗礁は、実にわかりにくく、大きく東にコースを取る。
この分だけで3マイル近く余分に走らされる。
ひたすらエンジン頼みで5ノット前後で岸から1.5マイルあたりを走る。
刺し網があちこちにあって、布さんがよく見つけてくれて助かる。
八木の沖にかかる頃に、風が落ちるがうねりが残って走りにくい。
種市港の赤灯はわかったが、入り口がまったく見えない。
ヨットのマストが何本か見えているので、左がフィッシャリーナには違いない。
うろうろしていると、テトラからにじみ出るように磯船が出てくる。
右も左もテトラでは、失敗は許されない。
折りよく漁船が追い越していく。
一周して確認したら、赤灯のすぐ脇で右に切れ込んでいる水路がある。
うねりの合間を見計らい一気に走りこむが、幅が狭くて緊張する。
こんなマリーナ、宮崎以来である。
正面の岩の手前を右に行くと漁港、左に大きく曲がってフィッシャリーナ。
アルカディアがフィッシャリーナの外に沖係り、メロディと光風が中に沖係り。
入ってすぐのポンツーンに空きがあるので、とりあえず止めるがクリートの位置が
悪く、岸壁の手すりからもやいを取ることにした。
管理者はいないようで、止める場所も問題ないようである。
まだ8時20分だよ・・・
布さんを見送りがてら、やたら高い防潮堤をくぐって、駅まで歩く。
駅前の食堂でそばを頼むと、ばあさんが「そばかね・・・」と面倒くさそう。
早くできるのは?と聞けば「ラーメンなら早い」
いくらも違わないんじゃないかと思いつつ、ラーメンをすすって朝食にする。
布さんは10時47分の列車で帰り、日立のT氏がくるまで一人となる。
明日は低気圧が通過する、と言う予報に、種市で数日過ごすことになるだろう。
トイレはきれいな洋式ウォッシュレットであるが、残念ながら詰まっていて使え
ない。
風呂は5分のところにラドン銭湯、駅の近くに町営の温泉があるが、今日は近く
の銭湯に行く。
「江戸の湯」と言う名前、脱衣場が微妙にヒールしていて、なんとも不思議な
感じである。
夕食は久しぶりに船で、カレーライスにする。
航程 17.4マイル 4時間30分

5月7日 雨 E7
荒れ模様の朝、東寄りの風だとうねりが入ってきて、よく揺れる。
午後になって風が北に振れ、いくらか落ちてきたがうねりは逆に大きくなって
きたようだ。
係留しているヨットの方が、「キャビンを見せてください」とおいでになり、
手伝っていただいて中央の水のあるバースに移動する。
揺れは大して変わらないが、クリートがしっかりしている分、安心である。
今日は町営の温泉に行く。
海がよく見えるが、荒れ模様がよく見えるだけに、「のんびり」というような
状況ではないのである。
帰路、スーパーがあったので買い物。
夜には気圧が上昇に転じるが、まだ低気圧の下。
5月8日 曇り NE4
今日も出られるような天候ではない。
日立からT氏が来るのをここで待つことにした。
水を満杯にさせてもらい、函館までは十分に持つ。
夕刻、T氏着、町営温泉に行き、二階のその名も「スピネーカー」(!)という
レストランで夕食にする。
一人なら自炊もいいが、二人になると外食の方が楽だし、好きなものが食べられ
るので、しばらくはまたこのパターンになるだろう。
5月9日 曇り 時々 雨 SE3 → E3
とりあえず、凪である。
4時半出港、種市沖の大きな定置網を大回りして、北にコースをとる。
7時、鮫角の正横であるが、霧がかかってきて見えず。
風は東に振れて快調に帆走、潮も追い潮で5.5から6ノットをキープ。
12時、小川原手前で雨が上がり、霧も薄くなって陸岸が見えるようになった。
小川原の防波堤は大きく、さらに大きなブイもできていて、入るのは容易であるが
風もいいので先に進む。
以前白糠に入った時は、止めるところがなくて苦労した記憶があるが、T氏は数度
白糠に入っておられるとかで、心配ないという。
物見崎を回ると新しい防波堤が工事中で、前に来たときとは様子がずいぶん変わっ
ている。
14時30分、T氏が以前横付けした漁船に連絡を取ってもらって、了解を得る。
やはり、普通に来たら止めるところに苦労するのには変わりがないが、うねりは
以前より入りにくくなっているようだ。
町は原発の補償金が入って、建築ラッシュ。
かつての寂れた漁村の面影など、ほとんど残っていない。
横付けさせてもらった漁船の船主の家で、お風呂に入れていただく。
お土産に小女子の佃煮をいただいた。
この近くには、食堂というものがない。
やむなく、船内でカレーライスでの夕食になる。
航程 50.6マイル 10時間

5月10日 雨 のち 晴れ NW6
また低気圧の通過で、足止め。
かなり寒く、ストーブを焚くほどである。
北西風が強く、尻屋を越えるにはいささか強すぎる。
天候は回復に向かっているし、北海道はすぐそこであるから、別に急ぐことはない。
一日、町を歩き、写真を撮って終わり。
夕食は隣の泊集落に居酒屋があるとかで、タクシーで出かける。
やはり原発景気か、焼酎のボトルは電力、工事関係の名前が目立つ。
5月11日 晴れ W 4 → NW 4
低気圧に吹き込む西の風が残っているが、それほど悪い風ではない。
6時出港、機帆走で尻屋に向かう。
原発の前には、巡視船が錨泊している。
岬の手前に数十基の風力発電が林立し、けっこうな勢いで回っている。
恐山が雪をかぶって見えてきた。
恵山もはっきりと見える。
水中に白い物体を見た。イルカの群れ。
尻屋の沖の大根に灯標が立って、まったく走りやすくなった。
10時、尻屋岬灯台の真北を通過、津軽海峡に入る。
風も少し北に振れ、楽な大畑へコースを取る。
下風呂も誘惑であるが、とりあえず大畑でいいじゃないか。
一番奥の空いている岸壁に着けて、漁協へお伺いに行くが、担当者がいないので
後で知らせるとか。
船で待っていると、親方風のおやじさんが来て、「ここでいいよ」
しっかり船固めを終えたら、入ってきた漁船が「そこは俺の場所だから、どけろ」
仕方ない、近くの動かない漁船を教えてもらい、シフト。
T氏は、若干耳が不自由なので、意思がなかなか伝わらず、苦労する。
一人でやる方がよほど楽なのだが、ご本人は仕事をするつもりになっているので、
お断りするのも失礼だし、難しいところである。
結局どたばた走り回って作業が終わったが、「どけ」と言った漁船の船長が見かねて
「いいよ、横に着けな」とまで言ってくれたほどの無様な作業であった。
風呂と夕食は町で。
たいした店がなく、居酒屋で軽く済ませる。
航程 36.5マイル 7時間20分

5月12日 快晴 E2 →6
5時半、大畑出港。
土曜に入れ、という指示に、陸奥湾方面で時間稼ぎをしようと大間から佐井へ向かう
ことにした。
灯台の気象では、尻屋も大間も7−10mとけっこうな風なのに、ゆるい東風しか
吹いていない。
潮を拾って、6ノットで弁天島の北を目指す。
やはり灯台の気象情報は正しかった。
9時、弁天島の北東あたりからいい風になり、この風に乗って一気に函館に行くこと
に決定。
明日明後日の風はわからない、今の風を大事にするのがクルージングの鉄則。
メインとジブで函館山へ向かって8ノットで疾走する。
締めくくりには最高の風と走りである。
11時、大鼻に並び入船漁港の手前でセールダウン。
金森の岸壁には、水野さんと布さんが出迎えてくれた。
入港11時45分。
航程 35.5マイル 6時間

往路航程 598.2マイル